「揚げ物の油温度が分からない」
「温度計は無いし」
「そのせいか揚げ物が油っこくなる」
と、お悩みのあなた!
食材ごとに適した温度の油で揚げなければ、揚げ物は美味しく仕上がりません。でも温度計は要りません。油温度は菜箸で分かりますから。今回は、各種揚げ物に適した油温度と、温度計なしで温度を確認する方法を紹介します。
この方法さえ知っていれば、新しく温度計を買う必要はないですし、揚げ油の温度の見極めができれば、揚げるのに失敗して食材を無駄にすることもなくなります。
1.揚げ物を失敗する原因は油の温度
一口に揚げ物と言っても、素揚げ、天ぷら、フライなどいろいろな種類があります。揚げる食材も野菜から魚や肉まで多種多様で、それぞれに適した揚げ油の温度があるので、何でもかんでも同じ温度で揚げていてはいけません。油が適温よりも高すぎたり低すぎたりすると、揚げ物は上手く揚がらないのです。
失敗した状態は、主に次の2つになります。
- 見た目はサクサク
でも中まで火が通っていない - ベタベタと油っぽい
1.1.見た目は揚がっているのに中は生!
きれいに揚がったように見えるサツマイモの天ぷらをかじってみるとまだ硬かった…というような場合は、油の温度が適温よりも高いために、サツマイモに火が通る前に外の衣が先に揚がってしまった状態です。
揚げ油の中に入った食材は外から熱せられるため、温度が高すぎると、中まで熱が伝わって火が通らないうちに、外側が先に揚がりきってしまうのです。
高温で揚げた方が良い食材でも適温は高くても200℃くらいまで。200℃を超える高温になってくると、中には全く火が通らないまま表面だけがすぐに焦げ付いてしまいます。
1.2.サクッと揚がらず油っぽい
逆に、サクッと揚がらず油っぽくなる場合は、油の温度が低いために衣の水分がなかなか蒸発せず、衣がベタっと重くなった状態です。
適温であれば衣の水分が蒸発して、代わりに油が入り込んでサクサクになります。また、衣に入り込んだ油が膜となって食材の水分を閉じ込めてくれるので、うま味も閉じ込めてくれます。
つまり、油の温度が適温より低いとネチャッとなるだけでなく味も落ちるのです。
2.揚げ物に適した油の温度とは
まずは、食材ごとに適した揚げ油の温度を見ていきましょう。揚げ物を調理する際の油の温度は、大まかに
- 低温(150~160℃)
- 中温(160~180℃)
- 高温(180~200℃)
と分類されます。
2.1.低温で揚げるのに適した揚げ物
緑色の野菜の色味をキープしたいときや、火が通るのに時間がかかる食材を揚げるときは低温が向いています。代表的なのは、以下のような食材の揚げ物です。
- 大葉やししとうなど、
緑色を鮮やかなまま残したい野菜 - 芋類、かぼちゃ、れんこんなど
でんぷんを多く含む食材
緑色を残したい野菜は、変色しないうちに数十秒でサッと揚げます。でんぷんは加熱によってα化(糊化)してやわらかくなるまでに時間がかかるので、芋やかぼちゃの天ぷらは低温でじっくり火を通しましょう。
2.2.中温で揚げるのに適した揚げ物
食材の中まで程よく火が通りやすく、衣もサクッと揚がる中温での調理は、多くの揚げ物に向いています。
- 野菜の天ぷら
- 唐揚げや竜田揚げ
- かき揚げ
- トンカツ
- フリッター
2.3.高温で揚げるのに適した揚げ物
中心まで火を通す必要のない食材や火の通りやすい食材は、高温でカラッと揚げましょう。具体的には、以下のような食材の揚げ物になります。
- エビ・イカなどの魚介や豆腐など
水分を多く含む食材 - コロッケなど、
もともと中身に火が通っている物
水分はでんぷんに比べて熱が伝わりやすく、中まで火が通る時間が短いので、高温の油で短時間揚げると良いのです。
また、フライドポテトや唐揚げなどは低温~中温で中まで加熱した後に、高温でサッと二度揚げすることをおすすめします。きつね色にカラッと仕上がりますので。
3.温度計がなくても低温・中温・高温を判断する方法
さて、各種揚げ物の適温が分かったところで、次はその温度の見極め方法を紹介します。前述の通り、温度計を用意する必要はありません!代わりに以下のものを用います。
- 菜箸
- 天ぷら衣
- パン粉
どれも揚げ物をするときに「必ず使う物」です。それぞれ、低温・中温・高温を判断する方法を紹介していきます。
3.1.菜箸を使って判断
油を火にかけてしばらく経ったら菜箸を入れ、菜箸が油に浸かっている部分から出る泡の様子で温度を判断します。
- 低温…菜箸の先から静かに泡が出て、全体的に細かい泡がモヤーッと上がる
- 中温…菜箸全体から細かい泡がサーッとなめらかに上がる
- 高温…菜箸全体から大きめの泡が勢いよく上がる
菜箸を油に入れた途端に表面で油がはねるような状態だと、200℃を超える高温になっています。このような場合は、一旦火を止めて油の温度を下げましょう。
3.2.天ぷら衣を使って判断
少量の天ぷら衣を油の中にポタリと落とた後、浮き上がってくる様子から温度を判断します。揚げている途中でも衣を油に落として温度を判断できるので便利です。
- 低温…衣が鍋の底まで沈んだ後、ゆっくりと浮き上がってくる
- 中温…衣が途中まで沈み、すぐに浮き上がってくる
- 高温…衣はほとんど沈ます、すぐにパッと浮いて油の表面で散る
3.3.パン粉を使って判断
パン粉少量を油の入っている鍋の中心に落とし、広がり具合から温度を判断します。フライを揚げるときに、使っているパン粉をひとつまみ入れます。
- 低温…円がだんだん大きくなるように、ゆっくりと広がる
- 中温…鍋全体にゆっくりと散らばるように広がる
- 高温…鍋全体に勢いよく散らばる
温度計がなくても適温を見極めて揚げ物を美味しく
今回の内容をまとめます。
- 適温より高すぎる温度で揚げると、外側は揚がっていても中は生のまま
- 適温より低すぎる温度で揚げると、ベタベタと油っぽくなる
- 低温(150~160℃)で揚げるのに適しているのは、緑を色良く残したい野菜や、でんぷんを多く含んだ食材
- 中温(160~180℃)の油は、揚げ物全般に向いている
- 高温(180~200℃)で揚げるのに適しているのは、中まで火を通さなくも良い物や、水分が多く火の通りやすい食材など
- 揚げ油の低温・中温・高温は、温度計がなくても菜箸・天ぷら衣・パン粉を油に入れたときの様子で判断できる
揚げ油の適温の使い分けをマスターして、失敗知らずの揚げ物上手になりましょう。